Mozilla Festival 2018 にて IoT 人材育成ワークショップを開催しました。

10 月 26 〜 28 日にロンドンで開催された Mozilla Festival 2018 に WebDINO Japan が参加し、 CHIRIMEN for Raspberry Pi 3 を使用した IoT 人材育成ワークショップを開催しました。

Mozilla Festivalとは

Mozilla Festival とは Mozilla Foundation が毎年開催している、インターネットに関する最新のテーマを扱った大規模なカンファレンスです。世界中からエンジニア、アーティスト、社会活動家、教育者、学生などが集い、インターネットの現在と未来に関して理解と議論を深める場です。「Decentralisation」「Digital Inclusion」といった、2018 年現在のインターネットにとって重要なテーマが 9 つ設定され、それぞれのテーマに合わせた展示やトークセッション、ワークショップなどが繰り広げられます。WebDINO Japan はその中でも「Youth Zone」と呼ばれる、学生や若手の参加者、またその若者を教育する立場にいる人を対象としたゾーンでワークショップを開催しました。今回の企画は約 300 ものプロポーザルの中から採択された企画でした。

開催したワークショップ

今回実施したのは、CHIRIMEN Open Hardware コミュニティによって開発されたIoT プログラミング環境 CHIRIMEN for Raspberry Pi 3 を用いた初学者向けのワークショップです。

CHIRIMEN for Raspberry Pi 3 を用いたこのツール・手法は、既存のツールに比べて、オープンソースでアクセスしやすいこと、比較的手に入りやすい部材を使用するため経済的であること、シンプルながら本質的にウェブ技術を使ったハードウェア制御について学べることなどがアピールポイントです。今回は、この手法やツールを紹介すると同時に、日本で活動しているオープンソースコミュニティや、その取組事例を紹介することも目的の一つでした。

ワークショップは事前申し込み無しで誰でも参加できる 1 時間枠のもので、初学者でも理解しやすく、なおかつ IoT プログラミングのエッセンスを体験できる内容でした。教材は CHIRIMEN Open Hardware コミュニティの宮崎典行さんが日本国内で同対象向けに行っているワークショップの スライド (PDF: 3 MB) を英訳・一部英語話者向けに改変して使用しました。内容としては、CHIRIMEN for Raspberry Pi 3 の入門編に当たる、LED ランプを Raspberry Pi 3 と配線し、ウェブ経由で制御する「L チカ」を参加者に体験してもらいました。

数多くのセッションが同時並行で開催されていたにもかかわらず、学生、先生、小学生を連れた親子など、幅広い層に渡る多くの方に参加していただけました。子供や学生などのユース層のみなさんはもちろん楽しんでいましたが、「学校でプログラミングを教えている」という先生の参加も目立ちました。ワークショップ終了後に詳細を聞きに来るなど、熱心な教育者の皆さんに集まっていただきました。

今後に向けて

今回、CHIRIMEN for Raspberry Pi 3 を使用したワークショップを海外で開催するのは初の試みでした。教材の一部は英語へのローカライズが未完の箇所もありましたが、それでも参加者の皆さんに教材の魅力を充分に感じ取ってもらうことができました。

例えば参加した小学生の子供の一人は、残った時間で「L チカ」を改造し、ウェブからモールス信号を送信できるように改造を試みるなど、独自の進展も見せていました。シンプルで伝わりやすい教材であるにもかかわらず、このように自然とアイデアを誘発し、その場でコードや配線を編集することで発想をかたちにできるこのワークショップ手法の強みをあらためて垣間見ることができました。

また参加した先生の一人からは、「ブロックをつなげて論理思考を学べるものなど、多くのプログラミング教材を試してきたが、そうした教材からいざ実際のコードを触るところとのギャップが大きく生徒が戸惑うことが多い。この教材はわかりやすいながらもはじめから本物のコードを触れるから良かった。」といったご意見もいただきました。

今後も CHIRIMEN コミュニティの皆さんとともに、この教材や手法をアップデートしていき、より多くの方に経済的で準備しやすい IoT プログラミング教育のツールとして届けられるよう活動を続けていきます。