HTML5 Conference 2018 で HTTP/3 など最新のプロトコルや輻輳制御と 5G ネットワークの関係について講演します

今週末開催の HTML5 Conference 2018 にて「HTTP の今と未来 ー BBR, HTTP/2, QUIC の基礎から 5G 試験ネットワークでのブラウザベース評価試験まで」と題した講演をさせていただきます。

先週開催された IETF では Mark Nottingham からの提案 が受け入れられ、HTTP over QUIC の名称を HTTP/3 とすると合意されたことは広く技術者の間で話題になりました。ウェブ業界では、HTML5、ECMASCript 2015 をひとつの区切りとして大きな技術的な進化を遂げてきましたが、ウェブを支えるネットワーク技術も次への大きなステップへと進もうとしています。

ネットワーク環境のクライアントがモバイル中心に移り変わっているだけでなく、皆さんご存じのように、来年以降は LTE から次世代の 5G への切り替わりを迎え、大容量・低遅延・多数接続が可能なネットワークが普及していきます。こうしたネットワーク環境の進化は、今やウェブ業界にとっても他人事ではありません。ウェブサイトやアプリケーションのパフォーマンス向上はもちろん、セキュリティやプラバシーにも関わる大きな改善が含まれているため、ウェブ開発者にとっても最新のネットワーク環境を無視できない時代を迎えています。

そうした中、「通信事業者だけでなくウェブ開発者と共により良いインターネット環境を実現していくため、実際の 5G 環境でのブラウザ利用の先行調査を行い、結果をオープンにする取り組みを一緒にすすめよう」というお声がけをソフトバンク様からいただき、WebDINO Japan で調査を実施しました。

調査内容は、最新の通信プロトコルと輻輳制御を 5G 環境と組み合わせた場合にどうなるか検証するブラウザベースでの基礎調査ですが、計測には、5G や IoT を活用する企業向けに 5G 実験機器での技術検証が可能なソフトバンクのトライアル環境「5G×IoT Studio」をお借りして行いました。

5G が実現する新しい可能性を活かす上で、最新の通信プロトコルや輻輳制御との組み合わせが有効であるか、また、実際に利用していく上で注意すべき点はどこかなど 5G 時代のネットワークとサービスを作る上で参考にしていただくための基礎的な計測になります。

今回の調査データをソフトバンク社の自社内に留めるのではなく、ネットワークを構築する他の通信事業者や ISP、ウェブ開発者やサービス運営者の皆様に広く知って頂くことで、ウェブを支えるネットワーク技術の変化を知り、標準化や実装にフィードバックしたり、実際のサービスで 5G の能力を活かしていって頂くためのヒントや切っ掛けとなることを目指しています。

調査結果の概要を今週末の HTML5 Conference 2018 でご紹介いたします。当日は、ソフトバンク 永井様からも 5G の世界についてもお話いただく予定ですので、HTTP と 5G ネットワークの未来に関心がある方はぜひ当日お越し頂ければと思います。

なお、講演で使用するスライドのうち、今回の基礎調査の内容を理解する上でも、ウェブサービスを運営する上でも、皆さんに知って頂きたい HTTP の基礎知識についてまとめた部分を抜粋し、事前公開資料として以下にアップロードいたしました。